私の決心
13
幸二が定年を迎えた。

その日の終業後、みんなの前で挨拶をする幸二。

「みんなには本当にお世話になったな。頼りない部長をみんなで支えてくれてありがとう。これからも頑張ってくれ。」

そんな簡潔な言葉の後に、事務の女の子が花束を渡す。

みんなが口々にお礼を言いながら、自然と拍手が起こる。

やっぱり慕われているんだな。

そんな事を感じながら、私も手をたたいていると

「橋本。」

それと同時に幸二に腕を引っ張られた。

「みんなに報告しておく。俺は橋本真砂子と結婚する事になった。
 俺はもうここには来ないが、こいつを置いていくのでよろしく頼む。」

ちょっと待って!結婚を承諾した覚えないよ!

確かに次の休みに引っ越しをして、一緒に住む事にはなっているけれど…。

「えっ?」
< 123 / 141 >

この作品をシェア

pagetop