私の決心
「やっぱりモデルしてくれない?」

「えっ?」

私はただびっくりして、武田部長を眺める。

「だからヌード、ダメ?」 

嫌になるくらい優しい微笑みで私を見る武田部長。

「実はさ、定年を前にしてこれからの事を自分なりに考えたんだ。そしたらさ、橋本と会社で会えなくなるんだなって思った。そう思ったら、無性に描きたくなってね。会社に居る時だけだろ、こんなお願いできるのは。」

自分でうんうんと頷きながら、話す部長。

「じゃあ、ヌードじゃなくてもいいじゃないですか。」

私は首をかしげる。

「なんて言ったら伝わるかな?素の橋本を描いてみたいんだ。それを俺なりに突き詰めると、ヌードだったわけ。」

私は何だかドキッとした。素の私って…、どんな感じなんだろう。

その言葉が私の心に突き刺さった。

「ダメ?」
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