私の決心
「そういえば、絵はどれくらい進んでいるの?」

思い出して私は聞いてみた。

思わぬ方向に変わった話に、ちょっとたじろぐ幸二。

「そろそろ出来上がるんだけど…。見たら怒るかも…。」

「どういう事?」

おもむろに幸二は立ち上がると、私の手を取りアトリエへ向かった。

布がかかっているキャンバスの前に立つ。

その布を幸二が取る。

「あっ。」

思わず息を飲む。

私が優しい微笑みをたたえて、赤ちゃんがくるまれているであろうおくるみを抱いている絵。

でも…。この絵なら…。

「私がヌードになる意味がないじゃない。」

思わず大きな声で言ってしまった私。
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