私の決心
私は車の中で、段々と痛くなってくるお腹を敏感に感じていた。

「幸二、やっぱりこれ陣痛だと思う。本や病院の先生の話よりも痛みはそれほどでもないけど。」

ところが…。

病院に着いて、診察台に上がった頃から私には激しい痛みが襲う様になって来た。

「あらら、やっぱり破水しちゃったね。こうなると感染症とかが心配だから、早く出てきてほしいな。」

私は、悠長な事を言っている先生をギラリと睨む。

「先生、すごく痛くなって来たんだけど!」

そう叫ぶ私に先生は気の毒に言った。

「まだ10分間隔だからね。赤ちゃんも頑張ってるから、お母さんももう少し病室で頑張ってもらおうか。」

そんな話をしているうちに、痛みはすぅーと引いて行った。

私は歩いて、病室に帰らされた。

「お帰り。」

雑誌を読みながら、私と違ってまだまだ余裕の幸二。
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