私の決心
「3分間隔になりました。よろしくお願いします。」

「はーい、武田さん、奥さんをお預かりしますね。分娩室の前でお待ちくださいね。もうじきお父さんですね。」

ニッコリと笑う看護師さんに、照れた様子の幸二。

もう、今から頑張るのは私なんだからね。

もう痛みで当り散らしたい気分。

分娩室に入ってから、何度かイキんで、赤ちゃんはあっけないくら
いすぐに産まれた。

「すごい安産ね。」

一言そう言った先生を私は思いきり睨んだ。

安産であろうが、痛いものは痛かった。

そしてぐったり力が抜けた。

看護師さんが私に何か話しかけたようだったが、耳に入らなかった。

病室に戻った私に、幸二は本当に嬉しそうに微笑む。

「ありがとう。真砂子。」

「ねぇ…。」
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