私の決心
「こっちがアトリエにしている部屋だよ。」

玄関そばのドアを部長は指さす。

10帖ほどの部屋の奥にベット。

真ん中に座り心地の良さそうな椅子が置かれている。

ドアに近い方に画材が置かれていた。

「冷暖房完備だし、明るい部屋だから落ち着くだろう?」

窓から明るい光が差し込んでいる。

「本格的なんですね。」

私はきょろきょろしながら、恐る恐る部屋に入る。

「実は人物画は初めてなんだ。」

そういえば置いてある絵は風景画ばかり。

壁にいろいろな絵が立てかけてあるが、そのどれもが風景画のようだ。

「だからよく旅行にも行かれるんですね。」

部長はうまく有給休暇を使って絵を描きに出かけているようだ。

何度か職場にその土地のお菓子のお土産をもらっている。
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