私の決心
「一つ提案があるんだけど。」

外回りを終わらせた後、会社に戻る前にカフェでお茶をしていると、急に武田部長は話題を変えた。

「今まで回ってきた企業さんの事ですか?」

私は首を傾げた。

「橋本は、休みの日は何をしている?」

全く関係のない話題で不思議そうな私に、ゆったりと部長は微笑む。

「彼氏のいない私に嫌味ですか?大抵家事をしていますね。一週間で結構溜まってしまいますから。」

今更部長には見栄を張らない。

正直にありのままを笑いながら答えた。

「実はさ、絵のモデルをしてほしいかなって。」

「私がですか?そう言えば、絵を描かれるんですよね、部長。でもモデルなら、もっと若い子が会社にいくらでもいるのに。」

「若ければ良いってもんじゃないんだよ。その年齢なりに出る良さがあるんだ。」

男の人もこれだけの年齢になると、若いだけではない女の良さを感じるものなのだろうか。
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