私の決心
「部長、感動です。」

肉じゃがにアジの開き。ほうれん草のお浸しに豚汁。

疲れからソファでうとうとしかけていたら、部長に呼ばれた。

食卓の上を見て、私は思わず叫んだ。

「これがザ・和食だ。」

部長は誇らしげに笑う。

私はいそいそと席に着いた。

「いただきます。」

「しっかり食べろよ。有りがたくな。」

部長が私の顔を見つめる。

とても楽しそうな表情だ。

「おいしい!私幸せです。」

こんな家庭料理、久しぶりだ。

この歳になると、実家にもなかなか帰れない。

「橋本の幸せはささやかだな。」
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