私の決心
「座っているだけなのに、結構体が疲れるものなんですね。」

私はコーヒーを見つめながら、ぼそぼそと返事をする。

「初めはかなり緊張していたみたいだったもんな。」

「じっとしているのは苦手かも。」

私は苦笑いをした。

「でもモデルをするなら、もう少し体の手入れをしてくれば良かったかな。 いつの頃からか、体を男の人に見せる事もなくなって…。そんな事に気も回らずに毎日を過ごしていました。女として、見えない部分の手入れをずっと怠ってきました。ダメですね、私。」

「ん?」

私が何を言いたいのか、分からないような部長。

「おかげでこの緊張感の無い体。恥ずかしいですよ。胸も垂れてきちゃってますし。」

「肯定する訳じゃないけど、それは仕方ない事じゃない?でもそれが年齢相応の美しさじゃないの?」

私は不思議そうに部長を見つめる。

「そりゃ、20代の子の裸を比べて、ぴちぴちの肌なんかは負けちゃって当たり前でしょ。俺はそんなの求めてないからな。さっきも言ったけど、外側に滲み出てくる物を描きたいんだから。でもその少し垂れ気味の胸に魅力を感じすぎて、休憩時間は隠してもらったんだけど。」
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