私の決心
部長の手が私の後ろから回ってきて、そっと胸の下の方から手で覆った。

部長の手は温かくて、ちょうど私の両胸はその手に収まった。

しばらく私は抜け殻のように、何も考えられなかった。

でも感じる。

それは何とも言えない甘い雰囲気。

ふっと我に返ると、部長の手は震えている。

それを感じた瞬間、私は部長の手に男を感じた。

びくっとした私の体に部長の方も我に返ったかのように

「ありがとう。橋本。」

と優しく言うと、手がゆっくりと胸から離れていく。

もう少し、触れてほしい。

無意識に思った瞬間、部長の腕は私の首に絡まり、私を後ろから抱きしめた。

首筋に部長の息づかいを感じる。

もしかして、私と同じことを考えている?
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