アナタの為に


「こら!桜、何サボってんだよ!」


一向に立ち上がらない私に、眉をひそめながら駆け寄ってきた


「だってー」


「だってじゃねぇし!ほら立てよ、もう少ししたら折り返して家戻るぞ」

十五は、ヒョイと私の両脇を持ち上げる


一瞬にして両足は地面から浮いてストンと立たされた


「ちょっ!ちょっと、いきなり何すんのよ!」


私重いし、汗かいてるのにー!


「は?何怒ってんだよ、走れはーしーれー!」


十五はそんな私に構わずグイグイと背中をおす


その力で自然に前に前にまた走らされた


「痩せたいんだろ?我慢しろよ」


そう言って、また私の前を走る十五は私なんかと全然違って


いつも見ていた背中も、私なんかより全然広かった
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