不思議の国の女王様
「お困りかい」
ハッと顔を向けるが、誰もいない。
「何キョロキョロしてるんだい、キミしかいないじゃないか」
「へ、俺?」
声がした切り株へ目をこらし、ギョッとする。
ちいさな三日月が、ふよふよと浮かんでいたのだ。
「あぁそうか、見えないのか。これは失礼」
横たわった両端が、クイッと持ち上がる。
「はっ!?」
空間が揺らめき、1匹のネコが切り株の上に姿を現した。
これまた奇妙な、モノクロストライプ柄。
そこで気づいた。三日月は、ニヤリと笑ったネコの口だったのだ。