不思議の国の女王様
「初めまして。僕の名前はケイト。チェシャネコとも呼ばれるね」
頬を引っ張ってみる。
痛い。
夢じゃないの? コレ。
フツーそこは夢オチだろ。
インコならともかく、ネコが人の言葉話すとか聞いたことないぞ。
おかしい。
そうか、まだ眠ってんだな。
早く目を覚ませぇっ、俺ッ!
「まぁまぁ、現実逃避しないで」
「ムリな話だね! 『チェシャネコ』だなんて、おとぎ話かよ!」
「いかにも、ここはおとぎ話の中の世界だよ。はて? ということは、キミが今度のアリスかい?」
アリス、そう言われてつい固まってしまった。
ネコは構わず、全身を舐めるように見上げてくる。