不思議の国の女王様
真っ青な空の下に、庭。
庭のド真ん中に、長机。
ペンキをぶちまけたようなテーブルクロス上に、おびただしいティーカップと菓子が並ぶ。
なのに、笑い声を上げているのはたったの2人。
「アールグレイ入るぜー」
「はい、飲―んで飲―んで飲んで☆」
「ぷはー!」
「帽子屋スゲー!」
赤毛のタレ耳ウサギが、目の前にいるシルクハットの男へ拍手を送る。
「よーし次はオレンジ・ペコだ! ティーポッドを持って来い、3月ウサギ!」
賛美された男は男で機嫌をよくし、ガハハ! と大口で笑う。
「……ここはホストクラブか」
あまりの衝撃に苦笑いが漏れる。
第一、紅茶は味わって飲むものだ。
間違ってもガブ飲みするものではないと、自分の国では教えられた。