不思議の国の女王様
 
「おや? 見慣れない顔があるぞ」


「本当だ。帽子屋ー、今日は来客あったっけ?」


「いや、茶会の招待状は出してない。女王にもだ。仕事してないって怒られるのイヤだからな」


「だよなー! ということは、あの兄ちゃんは女王とはまったくの無関係ということになる。だったら大歓迎だ!

 おーい何してるんだ、こっちに来いよ!」


「はっ!?」



 何をいきなり、と言う間もなく、自分の半分ほどの背丈のウサギが寄ってきて、グイグイ腕を引っ張るではないか!



「ちょっと待て、俺は茶会に来たわけじゃ……」


「遠慮すんなって。一緒に茶を楽しもうじゃないか!」


「だから違うって……おいっ!?」


「人数が多いのは大歓迎さ。さぁ席に着きたまえ」



 ウサギもシルクハットの男も、人の話を聞きやしない。



「「今日も誕生日じゃない日、おめでとう!」」



 ――泣きたくなってきた。
 
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