不思議の国の女王様
 
 無理やり座らされ、ため息ばかりが出る始末。


 仕方なく口にした紅茶がやけに濃かったからボヤくと、即反応があった。



「それは3月ウサギが時間を間違えて淹れたヤツだ! 変わったクセがあって逆にいいと俺は思うんだが、キミは違いがわかるのかい?」


「はぁ……まぁ。一応イギリス生まれなんで」


「イギリス? 聞いたことのない国だな! だがその言いっぷりだと、紅茶が美味い国なんだろうなぁ。

 そうだ、俺は帽子屋。そこでクッキーを貪ってる3月ウサギとコンビを組んでる。まぁこんな森奥だから客も来ないしな。ヒマだから毎日茶会を開いてるんだ!」



 そんなんでよく生活できるな。


 チェシャネコが言っていたように、本当にこいつが、自分の道標になるのだろうか。


 ……疑わしすぎるんですけど。
 
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