不思議の国の女王様
「よいか、お前の住む『物語を読む世界』と、この『物語として読まれる世界』は、隣り合って存在している。2つの世界は、交わることはない。
だが、世界の間には時空の歪みが絶え間なく生じている。希にその歪みに飲み込まれ、こちらに迷い込んでしまう者がいる。それがお前たち。『本』の主人公、『アリス』」
「ちょっと待ってくれ!」
多くのことをいっぺんに聞かされて、頭がパンクしそうだ。
自分が、本の中の世界に迷い込んだ?
ここはあの本の中?
だからどこにも見当たらなかったのか?
それならわかるが、まだ納得のいかないことがある。
自分がアリスだと言うなら、話が違う。
なぜなら、自分が読んだ物語の主人公は、幼い少女だからだ。