不思議の国の女王様
 
「よいか、お前の住む『物語を読む世界』と、この『物語として読まれる世界』は、隣り合って存在している。2つの世界は、交わることはない。

 だが、世界の間には時空の歪みが絶え間なく生じている。希にその歪みに飲み込まれ、こちらに迷い込んでしまう者がいる。それがお前たち。『本』の主人公、『アリス』」


「ちょっと待ってくれ!」



 多くのことをいっぺんに聞かされて、頭がパンクしそうだ。



 自分が、本の中の世界に迷い込んだ?


 ここはあの本の中?


 だからどこにも見当たらなかったのか?



 それならわかるが、まだ納得のいかないことがある。


 自分がアリスだと言うなら、話が違う。


 なぜなら、自分が読んだ物語の主人公は、幼い少女だからだ。
 
< 25 / 51 >

この作品をシェア

pagetop