不思議の国の女王様
 
「お前が消えてしまうわけではない。役目を終えれば、もとのような生活ができる。それまでの間だけだと思っていればよい」



 つと、女王の視線が鋭さを増す。



「この城でお前の存在を知っているのは、わらわとジャック、そして白ウサギだけ。

 あまり外を出歩くな。お前は秘密の存在なのだ。むやみやたらとふれ回るのは、持っての外」


「……失くしたもの探すのに、出歩かずどこを探すんだよ」


「慣れるまでは、という意味だ。ここに来てお前は日も浅い。早く城での生活に慣れてもらわねば」



 それってつまり、今目ェ離すと危なっかしいから、早く心配かけない程度になれよ、という無言の圧力か?



 ……なんだ、この見下されてる感。



 ごめん姉さん、誰とでも仲良くって言いつけ、守れそうにないや。
 
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