不思議の国の女王様
 
「う……ぐっ!」




 やがて、薄れゆく意識の中で『それ』を捉えた。



 視界をかすめる真紅の表紙。



 何度も取り落としそうになるのをこらえ、本を引き寄せる。



 これだけは、誰にも汚させない。
 
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