不思議の国の女王様
ジャックが腰に手をやる。
白銀に輝く細身の剣は、今も変わらずそこに。
「この剣にかけて誓います。命に代えても、貴女様は私がお守りいたします」
「何を今更!」
パシッ!
突然の衝撃に、ジャックはビクリと肩を震わせた。
下げた頭をはたかれたのだと、やがて気づく。
「そんなことは、いちいち証明せずとも承知しておる」
「女王様……?」
「来やれ」
思わず顔を上げたジャックが見たものは、バラの蕾がほころんだような笑顔。
「大事なことを忘れているな。剣を与えたのは、尽くしてもらうためではない。お前が、わらわを見てくれたからだ」
背伸びをして、グイと引き寄せられた顔。