不思議の国の女王様
 
「じゃあボク、女王様のために頑張ります!」


「仕事意欲があるのはいいが、くれぐれも気分で死罪にせぬように」


「できるだけ頑張りますっ!」



 天真爛漫に、生死の関わった話をしないでほしい。


 そんなアリスの思いなど知るよしもなく、白ウサギは跳ねるように回廊の向こうへ消えて行った。



「命知らずめ。白ウサギは王国直属の有能裁判官だ。失言一つで、うっかり処刑されるやもしれぬ」


「それでよく国が治められるな」


「誰でも、というわけではない。わらわの統治に不満を持つ輩は、ごまんとおるでな」


「え?」


「それほど敵が多い、ということです」



 行きがけにジャックがつぶやき、さっさと歩み出した女王に続く。
 
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