不思議の国の女王様
『あなたが今度のアリスね。まぁ綺麗なお顔だこと。嫉妬しちゃう』
仮面に唯一隠されていない口元が、ゆるく弧を描く。
どうやら事情を知っているらしい。
ファントムは優雅に脚を組みなおし、アリスを見やる。
『正直、アリスの話し相手と聞いて驚いたけれど、とても有意義な時間が過ごせるようね』
なるほど、この女性が。
ようやく理解に至ったアリスは、姿見前の椅子を反転させ腰を落ち着けた。
「どう? 『こちら』での生活は」
「もう大歓迎ですよ。処刑されるくらいに」
『表面上はね』
白ウサギを追いかけて、色んな場所を巡る。
それが本当のストーリー。
しかしてその実態は、有能裁判官とやらを見張りにつけた物探し。