不思議の国の女王様
『探しもの』の手掛かりは一向に掴めず、落胆して城に戻ればトランプの一般兵と鉢合わせ。
すでに錯乱していたそいつは「庭園に植えたバラがうんぬんかんぬん……」と意味不明な言語を発し、裁判が開かれ、死刑判決が下った。
そこはストーリー通りなんかい、とツッコまずにはいられなかった。
『大変だったでしょうけど、今はかくまってくれてるでしょ? うふふ、本当に物好きな女王様だわ。さすが、私のシェリル』
「シェリル? それって女王の名前か?」
『可愛いでしょ? とってもいい名前なのに、この辺りで呼ぶといったら、私とジャックくらいね』
可愛い? その形容詞が出てきたことに驚く。
しかも、あのツンツン女王に掛かっているというからなおさら。