不思議の国の女王様
 
『探しもの』の手掛かりは一向に掴めず、落胆して城に戻ればトランプの一般兵と鉢合わせ。


 すでに錯乱していたそいつは「庭園に植えたバラがうんぬんかんぬん……」と意味不明な言語を発し、裁判が開かれ、死刑判決が下った。


 そこはストーリー通りなんかい、とツッコまずにはいられなかった。



『大変だったでしょうけど、今はかくまってくれてるでしょ? うふふ、本当に物好きな女王様だわ。さすが、私のシェリル』


「シェリル? それって女王の名前か?」


『可愛いでしょ? とってもいい名前なのに、この辺りで呼ぶといったら、私とジャックくらいね』



 可愛い? その形容詞が出てきたことに驚く。


 しかも、あのツンツン女王に掛かっているというからなおさら。
 
< 49 / 51 >

この作品をシェア

pagetop