不思議の国の女王様
 
『あなたもじきにわかるわよ。彼女、とーっても可愛らしいんだから』



 それは身長的なことだろうか。


 首を傾げるアリスに肩を震わせながら、ファントムが言う。



『時間かしら』


「え?」



 見るとファントムの透明度が増していた。


 透けた向こう側から、茜の光が射し込んでいる。



 そこで突然ドアが開き、部屋の主、従者が室内へ入ってきた。



 女王は一直線にアリスたちの元へ歩み寄ると、ファントムと視線を合わせる。



「久方ぶりだな」


『今日は早いのね。お仕事はもういいの? もしかして、私に会いたかったから早く終わらせてきたのかしら?』


「そのお花畑な頭で好きに解釈すればいい」


『もう、つれないわねぇ』



 ファントムの笑みはもうお馴染みだが……何だあれは。


 思わず目を疑ってしまう。


 女王が浮かべている表情も紛れもなく、笑み! 
 
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