不思議の国の女王様
*少女と玉座
「この度は、崇高なる我が女王陛下に拝謁つかまつりますこと、まことに欣快の至りでございます」
しわがれた声が、大理石に反響する。
「こちらが、お話にありました少女でございます」
広大な大広間の中央で、ひれ伏す男。
それにならい、一度バラ色の絨毯へ額をこすりつける少女。
自分とそう年端も変わらぬ娘を、高い高い玉座の上から見定める。
くっきりした目鼻。
厚い唇。
まばゆいブロンド。
なるほど美しい、が。
「……違う」
たやすく惑わされるほど、愚かではない。