三角の距離
-ななみside-


「大丈夫。俺がいる。」




そう言って微笑むひろくんに背中を押されたように話し始める。




「知ってるもしれないけど翔とケンカしたの。

翔が怒ったのも私が悪いってわかってる。

私がひろくんの話ばっかりするから。

それで翔が冷たい返事しかしないからつい




"ひろくんはそんなふうに言ったりしないのに"




って。

人と比べられるの嫌がるって知ってたのに、気持ち考えないで翔のこと傷つけちゃった…っ。

一番わかってるはずなのに…。

怒らせたくなかったのに…。

何もできなくて、話したくても話せなくて、謝りたいのになんて言ったらいいのかわかんない…。

きっとまた、翔を傷つける…。」




周りから見れば、そんなことって思うかもしれない。



でもこれは私たち二人にとって、もしかしたら三人にとって大切なことだと思うから。



ひろくんならわかってくれる。



翔とは違う安心感にどんどん口から溢れる不安や後悔。



溜まっていたものが涙に変わって頬を伝って流れ落ちた。



それは止まることを知らなかった。



ひろくんは、隣に座って手を握っていてくれた。



うん。うん。って全て聞いてくれた。



大丈夫って慰めてくれた。



ひろくんの優しさがあったかくて、私はただ隣で涙を流し続けた。

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