私に恋を教えて王子様!!
水泳が終わり昼食を食べていると、あーちゃんが質問する

「愛結の首にかけてるタオルってさ、ゴリーのだよね?」

「うん、さっきゴリーが貸してくれたよ」

と口にミニトマトを運びながらいう。

「え…まさかまだ気づいてないの?」

あーちゃんがよくわからない事を言う。

「何が?ゴリーになんかあったの?タオル…洗わなきゃな」

「あんた…鈍感。でも仕方ないか。私がどうこう言える問題じゃないわ。早く気づいてあげなよ?」
何に気づくのだろうか?
よくわからないが

「うっ、うん?」

と頷く。

「それにしても愛結は告白された事ないの?」

いきなりの事でビクッとする。

「うーん、なかった…いや一回だけ…?」

「いつ?」

あーちゃんが顔をしかめて聞く。

「小学6年生の時だよ。でも誰かわかんないんだ~」
「え?よくわかんないんだけど?」

「後ろから…好きですって言われて…」

あの時は確か卒業式で私が一人で廊下を歩いてた。
すると肩に優しく手が触れた。びっくりして後ろを振り返ろうとすると

「お願い。こっち向くな」
と耳元でささやかれて。爆発寸前の私はただ硬直して聞いていた。

「名前も言わなくてごめんな。
……スゴく好きだ」

と思いがけない事を言われた。

「10秒目をつぶってから目開けて振り返っていいから」

私はコクッと頷いて10秒を数えた。

(9…10…)

ゆっくり振り返るとそこには誰もいなかった。

「ありがとう」

私は床に落ちていた涙のようなものを見つけた。

胸がキューとなって私も廊下で泣いていた。
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