ホワイトデーにXXXX
その時程、『嫁』が欲しいと思った事はない。

高野主任にそう言ったら「女の子の前でそれを言うと、面倒だぞ」と言われた。

なぜ?と思ったが、とりあえず言わない事にした。


取引先に行った帰り、近くの大型ショッピングセンターに寄る。

季節柄、『ホワイトデーコーナー』ができているはずなので、そこを目指した。

平日の昼間なので、週末程は人も多くない。

俺のようなスーツ姿のサラリーマン風のお客も、ちらほら・・・

その事に少しホッとしながら、置いてある商品を見る。

きれいな箱や、透明なケースに納められたそれらは、どれもいい感じに見えて、全部一緒に見えてしまう。

ダメだ・・・クラクラしてきた。

全部一緒に見えるのに、その中から、どうやったらよさそうな物を選びだせるというのか・・・

きれいにディスプレイされた商品達を見て、固まっていたら、斜め後ろから、声をかけられた。

「何かお探しですか?」

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