紅いホワイトデー
紅いホワイトデー
バレンタインの日、教室で泣く君を見つけたのはただの偶然だった。
いつもはピンとして自信に溢れている背中が、悲しげに丸まって、弱々しい背中になっていた。
「ずっと、前から……好き、でした」
苦しげに呟かれたその言葉に、僕の心臓は切なく痛む。
泣かないで。君が泣くと、僕はどうしたらいいのか分からなくなる。
声をかけた方がいいのか、それとも黙って帰ればいいのか。
それすらも分からず、ただ、ドアの前に立ち竦んだ。
暫くすると、彼女は落ち着きを取り戻して、顔を上げた。
あ……どうしよう。
そう考えたのも一瞬で、気付けば声を掛けていた。
「し、志乃ちゃん……」
「……っ!?い、伊吹くん?どうして……」
驚いた顔をして、僕に涙の跡を見られまいと、ガシガシと目元を擦る志乃ちゃん。
「だめだよ……赤くなっちゃう」
僕が慌てて志乃ちゃんの擦る手を掴むと、志乃ちゃんはハッとした顔をする。
「……見た?」
「…………うん」
「ははっ……恥ずかしいな」
この場を明るくしようと無理矢理笑顔をつくる彼女はすごく痛々しい。
でも、言及して志乃ちゃんを傷をえぐることはしたくないから、僕も話題をそらす。
「……ガトーショコラ、ありがとう。美味しかった」
「もう食べたの?はやっ」
コロコロと鈴を転がしたような笑い声で僕に笑い返す。
「家に持ち帰ると、姉さんに食べられるから……」
「え!お姉さんいたの!!」
「うん、3つ上に」
「意外だなー」
他愛もない会話をしている内に、彼女はいつも通りを取り戻していくのをみて、内心ホッとする。
いつもはピンとして自信に溢れている背中が、悲しげに丸まって、弱々しい背中になっていた。
「ずっと、前から……好き、でした」
苦しげに呟かれたその言葉に、僕の心臓は切なく痛む。
泣かないで。君が泣くと、僕はどうしたらいいのか分からなくなる。
声をかけた方がいいのか、それとも黙って帰ればいいのか。
それすらも分からず、ただ、ドアの前に立ち竦んだ。
暫くすると、彼女は落ち着きを取り戻して、顔を上げた。
あ……どうしよう。
そう考えたのも一瞬で、気付けば声を掛けていた。
「し、志乃ちゃん……」
「……っ!?い、伊吹くん?どうして……」
驚いた顔をして、僕に涙の跡を見られまいと、ガシガシと目元を擦る志乃ちゃん。
「だめだよ……赤くなっちゃう」
僕が慌てて志乃ちゃんの擦る手を掴むと、志乃ちゃんはハッとした顔をする。
「……見た?」
「…………うん」
「ははっ……恥ずかしいな」
この場を明るくしようと無理矢理笑顔をつくる彼女はすごく痛々しい。
でも、言及して志乃ちゃんを傷をえぐることはしたくないから、僕も話題をそらす。
「……ガトーショコラ、ありがとう。美味しかった」
「もう食べたの?はやっ」
コロコロと鈴を転がしたような笑い声で僕に笑い返す。
「家に持ち帰ると、姉さんに食べられるから……」
「え!お姉さんいたの!!」
「うん、3つ上に」
「意外だなー」
他愛もない会話をしている内に、彼女はいつも通りを取り戻していくのをみて、内心ホッとする。
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