ハローマイキャンディ
彼女は窓辺に立っていた。
正確にはそこは窓枠であり、もっと厳密に言えば腐って軋んだ窓枠である。
そこに、盛大に仁王立ちをしていた。

頭には輪っか、
背中には羽根をつけて。

ぽかーんと見上げる俺に、寧ろ潔いほどの悪人面で笑った彼女は、続けざまに、こう言った。


「いい暮らししてないなーお前。一回死んで生まれ変わる?」


一回死んで?
生まれ変わる?

何の話か全くわからない上に、初対面から失言連発じゃなかろうか。

そんなことを思った俺は、既に、いろんな意味で免疫がついているのかもしれない。


「そう言ってやんないでよ、はじめもわかってることなんだし。」

「全然フォローしてないから。」


カプリの言葉にちょっとだけハートを抉られてうなだれれば、仁王立ちの失言彼女が今更な自己紹介をした。
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