ハローマイキャンディ
自分の思考に自分で言い訳をして、はあ…と小さく溜め息を吐けば、ようやく彼女が口を開いた。


「あたし、カプリ。火星から来たんだーよろしこ!」

「…は、火星?…よろしこ?」


火星から来たって。
よろしこって。

どこから突っ込んでいいのかわからない。

さばけた口調のふざけた内容に、バスタオルを持つ手が止まる。
ぽたりと頭からシャンプーが落ちて、まだ髪を流していないことを今更思い出した。

すっかり水分を拭き取られた彼女…カプリが、あーあーとか言いながら俺を風呂場に連れていく。
もう全てに呆然とした俺は、おとなしく、手をひかれて風呂場の椅子に腰掛けた。

流されてる、シャンプーも俺も。

物心ついてから久しぶりに、軽く、現実逃避をした。
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