好きを百万回。
イケメン2人がホテルのバーで飲んでたらさぞかし絵になることだろう。そんなことを考えながら、洋梨のタルトをティースタンドから自分のお皿に取り、フォークで一口分を切り分ける。
不意にフォークを持つ右手を掴まれ、野波さんが自分の口へ運ぶ。
「ん。ウマイね」
折田さんも亜弥も山岸くんも、わたしたちの方を凝視して、3人揃ってため息をつく。
「バカップルだ」
「バカップルやな」
「バカップルですね」
しかもみんな揃って同じ感想を口にする。身体中の血液が顔に集まっているようなわたしの横で、野波さんが涼しい顔をして不敵に笑う。
「悔しかったらお前らもやれば?」
王子様は人前でわたしを構うことに躊躇がなくて、わたしは恥ずかしいのにその甘さに溶けてしまいそうになる。