好きを百万回。


ケーキを食べ終えるまで野波さんたちは付き合ってくれて、亜弥と山岸くんは折田さんにバーに連れて行かれてしまった。

「野波さん、わたし一人で帰れるし折田さんとこに行ってください」

「折角2人っきりになれたのに?」

野波さんがわたしの手を取り歩き始める。

「地下鉄の改札まで送ったら戻るよ」

少し慣れ始めた野波さんの体温。
繋がれた手を見て、なんだか幸せな気分になって、口元が綻ぶ。

「こまり?」

黙っているわたしを不審がって野波さんが名前を呼んだ。

「あ・・・・・好きな人の温度が感じられるって幸せだなあって・・・・・」

言ってしまってから恥ずかしさで俯く。

急に強く手を引かれて、人目につかないホテルのロビーの柱に背中をつけられる。
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