好きを百万回。
「煽ってないです!」
なんだか身の危険を感じてソファーの端に後ずさるけれど、野波さんの片手に首の後ろを捉えられて引き寄せられた。
眼鏡の奥の優しげな瞳は機嫌良さげに細められ、自分の鼻先に形の良い鼻が近付いてくる。
次に起こることが想像出来ないほど子供ではないけれど、会社だし、まさかという思いもある。
野波さんと違って至近距離で見られて耐えられるほどの容色ではないわたしは、恥ずかしくてキュッと目を閉じてしまった。
唇の上に吐息があたり、戸惑う間もなく柔らかな唇が重なった。
2回目のキスやのにちっとも慣れない。
身体を固くするわたしの首筋を野波さんの長い指がやわやわと揉み解し、時々親指が耳の下を撫でる。
「・・・・・んっ・・・・・」
擽ったくて肩を竦めた。