好きを百万回。


「母が頂き物やけど持って行きなさいって。割といいモノらしいです。わたし怖くて開けられへんから開けてください」
シャンパンを野波さんに手渡す。

野波さんが虚をつかれたような表情をした。

「今日はアルコールはええよ。後で車で送ってくつもりやから」

「送らなくていいです」

「こまり?」

「あっ明日の朝、ここから出勤します」

野波さんがフリーズした。

頑張って宣言したけれど迷惑だっただろうか?

きっと恋愛に慣れている人はもっと上手にスマートに誘えるのだろうけれど、わたしにはこれが精一杯だ。

野波さんが好き。
野波さんが大好き。

「こまり・・・・・それオレが勝手に好きに解釈してええの?」

恥ずかしさで死ねそうだけど、コクリと頷く。

ふっと吐息を漏らし、野波さんがシャンパンの包装を解いていく。その長いしなやかな指に見蕩れていた。

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