好きを百万回。
4


不思議なことにあれ以来、お昼休みに週に1、2度、野波さんと遭遇する。

彼は純粋にお昼ご飯を食べに来るだけ。
わたしはキルトの本を読んだり、キルトをしたり。

一緒にいる時間はほんの20分くらい。
大体彼の方が先に立ち去るので、そのときに会釈する程度の関わりだ。

なんとなく優しい時間に思えて、会話がなくてもいい気がしていた。

彼の方はわたしを邪魔だと思ってたかもしれないけれど・・・・・・・・・・。


その日もわたしはお弁当を食べたあと、キルトをしていて、横にはおにぎりを食べながら本を読む野波さん。

カツン・・・・・

微かな音を耳が捉える。

「あっ!」

野波さんが少し慌てた声を出す。

ふとわたしの足元を見ると小さなボタン。
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