好きを百万回。


「お前、知らないの?本店営業部テラーの木下こまりちゃん」

「モテ男は知らんでええよ。競争率上がる〜」

「いや、顔くらいは知ってるけどそんな人気あんの?」

「人気あるねぇ。矢口みたいな取り澄ました美人と違ってオレらでも手が届きそうな可愛さや」

「性格もかなりええしな。ちょっと人見知り気味のとこはあるけど」
別のヤツが声を上げる。

なんとなく肌をざらりとヤスリで撫でられたような不快感。


初めて一緒に食事をしたのは折田会長と3人で。高級料亭で食事代を払えるか心配する彼女がどうしようもなく可愛いかった。

いくら美人でも箸使いにガッカリすることがある。その点彼女は折田会長が感心するくらい綺麗な食べ方をしていた。

きっとしっかりと躾られた女の子だ。
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