好きを百万回。
そんなことが無性に嬉しい。
後から聞けば、窓口で振込ならATMに行けと言われた折田会長を助けたのが知り合うきっかけだったらしい。カフェの前で戸惑っていた折田会長に声をかけたのも彼女の親切心。
ひとつ彼女の優しさを知る度、心が温かくなってもっと深く知りたいと思う。
親睦会で酔い潰れた山岸を立ち上がらそうとして重さに耐えきれず、抱き締める形で床に座り込んでいる姿を目にしたとき、一瞬で頭に血が上った。
ああ、もうこれは恋だ。
オレは彼女のことが好きなのだ。
姉貴のキルト教室の生徒だったのは驚くべき偶然。
このチャンスを逃すわけにはいかない。
なのに姉貴にオレとのことで水を向けられると彼女はオレのことを「自分には身分不相応」だと言って笑う。