好きを百万回。


姉貴の用事が終わった後、半ば強引に車に押し込んだ。

緊張しているのかと思えば、車内の暖かさと振動に眠気を誘われたのか無防備に寝顔を見せる。

本当は猶予なんて与えたくなかった。
告白してすぐに自分のモノにしたかった。恋愛にお世辞にも慣れているとは言えないこまりを言葉と行動でいいように翻弄することなんて、オレには簡単だと思っていた。

そうしなかったのは、オレがこまりに誠実でいたかったから。

きっと生真面目に悩んで答えを出すだろうことなんて容易に想像できる。仕事に忙しい毎日を送りながら、こまりのことを考えない日なんて1日もなかった。



「ねえ、こまりちゃんがアンタのマンションに行きたいって住所を聞いてきたんだけど、無事着いてる?」

インフルエンザで出社禁止になっているオレに姉貴からの電話。

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