好きを百万回。


外はもう暗い。
姉貴に電話をかけてきた時間は2時間も前だという。

銀行から地下鉄に乗って、30分で着く距離なのにまだ現れない。嫌な予感がして慌てて外へ探しに出た。

地下鉄の駅に向かう途中の公園で、女の子がベンチに座ってぼんやりしている。
それがこまりだとわかると強引に冷えきった身体を引き寄せてマンションに連れ帰った。

想像通り、何日も考えて悩んで、ようやく答えを出したらしい。

この手の中に堕ちてきたら、もう手放せない。

もう誰の手にも触らせない。



年末は仕事が本当に忙しくて、なかなかこまりと過ごせない。時々はその姿を見かけたり、お昼の少しの時間を一緒に過ごしたりも出来る。その僅かの時間で殺人的な愛らしさを見せつけられて、わざと煽られてるのではないかと疑ってしまうオレはかなり重症だ。
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