好きを百万回。
13
銀行の窓口では結婚指輪以外のアクセサリーを禁止されている。
それが分かっていたのだろう、朔也さんからクリスマスに贈られたのは誕生石のサファイアのネックレス。制服の下に隠して毎日つけている。
わたしが朔也さんにあげたのはブルー地に細かなドットのネクタイ。
奇しくも揃って首につけるものをチョイスしたことに2人して笑った。
「朔也さん、忙しいのにわたしここに居ていいの?」
2人で初詣に行ってから彼のマンションでゆったり過ごすお正月。
リビングのローテーブルの上には本が積み上げられている。仕事をする彼の傍らでキルトをしながらふと思い付いた疑問を口にする。
「オレが仕事してると退屈?」
読んでいた本をパタンと閉じて顔を覗きこまれた。
「ううん、わたし基本インドア派やからこうやってキルトできるの嬉しいんだけど・・・・・難しそうな本を読んでるしわたしがいると集中できひんのとちがう?」