好きを百万回。
気が付くと、朔也さんの腕の中。
額に頬にキスの雨が降ってくる。
「オレはいつでも好きな時にこまりを構いたいの。こまりが退屈やなかったら傍に居てて。全然邪魔やないから」
キスが唇におちてきて、甘い時間が始まる。
ずっと続くと思っていた朔也さんとの時間。
大切な、かけがえのない恋人。
別れなんて小指の先ほども考えなかった。
1月半ば、比較的仕事が楽だった日の定時間近。
目の前で取引先課の課長が頭を下げている。
「悪い、取引先に税務署が入っててさ、伝票探して欲しいんや」
「いいですよ。いつのですか?」
軽く請負ったわたしに課長がリストを出した。A4用紙に日付がびっしり書かれている。
「小切手と振込伝票とここに書かれている日付の分全部探して明日までにコピーしといて。ホンマにごめん!」