好きを百万回。
これからやるとなると残業になってしまう。女の子の中にはぼちぼち帰り支度をする人もいた。安請け合いしちゃったなと少し後悔するけれど、顔に出さないように気を付ける。
「ごめんなぁ、木下さん頼みやすいからつい・・・・・。今度なんかで返すからな」
「はい。期待してますね」
過去の伝票の保管場所である金庫室に入り、早速取り掛かる。適当なダンボールに必要な伝票の綴りを入れていく。作業に没頭していると融資課の男の人2人が入って来て書類を整理しだした。金庫室の奥の棚で作業しているわたしには気がついていないみたいだ。
「そういやさ、野波の話聞いた?」
「聞いた、聞いた。やっぱスゲぇよな。毎日の業務こなしながらいつ勉強してたんだよって」
「だよなあ、さすがスーパーエリート」
何だろう?朔也さんの話しみたいだけど・・・・・。つい聞き耳をたててしまった。