好きを百万回。
「どこだっけ?ハーバード?」
「そうハーバードのビジネススクール、9月からだって」
「アイツ中学入るまで父親の仕事の関係でアメリカにいてたんだって。英語は何とかなるって笑ってた」
「あー、たしか父親が商社マンだって言ってたな」
「モテ男がいない間に社内で嫁さん探すかな」
「だな」
笑い合う2人の会話を聞きながら、機械的に手と目を動かす。集中しているようで、どこか気持ちがフワフワして指先から体温が逃げていくような気がした。
わたしは今、何を聞いたんだろう・・・・・?
目的のものを全部揃えて、ダンボールを運び出すために持ち上げるけれど、指先に力が入らなくてそのまま落としてしまった。
「あれ、木下さん?」
「あ・・・・・すいません。意外と重くて落としてしまって・・・・・」