好きを百万回。
帰る前にトイレに寄って行こうと、ドアを開けたところで背中を強い力で突き飛ばされた。勢いでトイレの床に転がり、膝をしたたか打ち付けた。
振り向いて見上げるとドアを塞ぐようにして立つ人。
「や・・・・・ぐちさん・・・・・?」
「やだあ、そんなとこに座り込んで。汚いやないの」
唇の端に意地悪そうな笑みを浮かべている。
「・・・・・突き飛ばした?」
「したわよ」
「なんで?危ないやない」
「突き飛ばしたくらいでは死なないわ。だって木下さんしつこいんやもん」
「何言って・・・・・」
「何回嫌がらせしても野波さんと別れへんし。朝早く出勤したり、アナタが帰るの待ってからロッカーに紙入れたり大変やったんやから」
背中がすうっと冷える。