好きを百万回。


「ああ、ソファーを切り裂くのも結構大変やったわね」

この人は何を言っているんだろう?
誰もが美しいと評する顔に醜悪な笑みを浮かべ、自分のやったことを暴露する。

気持ち悪い。

「何がしたいの・・・・・!?」
痛みで立ち上がれないので下から睨みつける。

「簡単なことよ。野波さんと別れて」

「なんで?」

「似合ってないわ。アンタなんて善良そうなのだけが取り柄やない。これが杉浦だったらまだ納得できたんやけど。あのコ、性格悪いけどまあ美人だし?」

「・・・・・・・・・・そんなこと矢口さんに言われる筋合いない」

「あるわよ?だってわたしが野波さんと付き合うつもりやったんやから」

「野波さんはわたしを選んでくれた」
あまりに自分勝手な言い草に声が震える。
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