好きを百万回。
「うるさい!!」
入口の横の棚に置いてある消毒薬のボトルが投げつけられた。
咄嗟に腕で顔を庇ったけれど間に合わず、額にあたる。そんなに中身が入っていなかったので痛みは大したことはないけれど、そこまですることに驚いた。
「アンタ程度の女がエラソうにしないでよ。別れないって言うならこっちだって考えがあるんやからね」
「・・・・・何よ?」
「野波さんにアンタと二股かけられて弄ばれた上に捨てられたって父親に言うわ」
「なっーーー!」
「知ってた?今回の留学はウチの父親が強く推したから実現したって。この時期にスキャンダル不味いわよね?タダでさえ銀行員って私生活にもウルサイから」
「・・・・・野波さんのこと好きならそんなことーーー!」
「そんなんわたしのモノにならない男なんてどうなろうと知らないし」
狂ってる。
いくら手に入らないからってそんな嘘まででっち上げようなんて。