好きを百万回。


・・・・・・・・・・いつも自分では行かないんだよなあ。言っても無駄だから言わないけど。

営業室を出て、PR庫へ向かうわたし。

「木下さん、手伝います」

後ろから声をかけられた。新入行員の山岸くんだ。

「ありがとう。助かるよ」

「大した仕事できないですから」

「そんなことない。山岸くん、いつも頑張ってるやない」

165センチくらいの身長、丸い顔に人懐こい笑顔。イケメンではないけれど、親しみやすさがあって感じがいい。

「そうやって褒めてくれるの木下さんだけですよ。矢口さんなんか僕のこといないかのような扱いですもん」

「あはは・・・・・・・・・・」

ある意味彼女は分かり易い。
容姿、能力、家柄、どれかが満たされなければ相手にしない。
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