好きを百万回。
「お昼の教室しかないって言ってるのに、強引にお昼は無理です、夜のお教室を作ってくださいってねじこむんやもんねぇ」
クスクス先生が笑う。
「すいません。でもどうしても習いたかったので。結局個人レッスンになってしまいましたね」
その点は申し訳なく思っていた。
「いいわよ。すごく熱心で間違いなくわたしの一番弟子になってくれたし」
作品を仕上げるのは楽しかった。キルトがあったから、辛いことも乗り越えられた。
「こまりちゃん・・・・・」
先生が言いにくそうに言葉を濁す。その先に出てくる言葉は簡単にわたしには想像がついた。
「朔也さん、帰国しはるんですね」
「こまりちゃん・・・・・」
「銀行でも噂になってましたよ」
出来るだけ、心の中を悟られないように笑って平気な声を出す。