好きを百万回。
PR庫でティッシュ以外にタオルとかゴミ袋なんかも適当に箱に詰めておく。
「僕が持ちます」
粗品を詰めた箱を山岸くんに持ってもらって、営業室に戻った。ドアを開けるとなんだかいつもと空気が違う。
「困ってはったら助けるのが当然やないですかぁ」
矢口さんの鼻にかかったような甘ったるい声がする。山岸くんと思わず顔を見合わせる。
嬉しそうに話す矢口さんの方を見ると、見覚えのある長身の後ろ姿。
ちょうど亜弥が通りかかったので聞いてみる。
「ああ、なんか野波さんの取引先のご隠居さんがね、今日ウチの店でATMが使えなくて戸惑ってたら親切に優しく教えてくれた女の子がいたって。野波さんに電話がかかってきてお礼を言っといてくれって言われたんだって」